英文セールスレターを上手に書くコツその3:自動車部品とキャバレー
私は(株)デンソー在籍時にエアコン部品以外にO2センサという部品を担当していたことがあります(その他も色々と担当してました。)。O2センサとは、排気ガスの中に含まれる酸素の濃度を測り、エンジンが正常な状態で稼働しているか確認する為の部品です。
そしてこの部品なんですけれども 名古屋に強力なライバル会社がおりまして、残念ながら我々(デンソー)の商権を奪われたことがあるのです。 今日はその話をします。
そもそも自動車部品の世界では、製品の仕様/パフォーマンスに大差無いのです(そういうと怒る人がいるので差がないのは仕様とパフォーマンスに”限定”して下さい。 品質、製造工程、製品寿命等には差があります・・・)。
そして強力なライバル会社ですが、デンソーに負けず劣らず素晴らしい商品を造ることができました。 幾らデンソーの技術者が「うちの方が良い!」と言ったところで、ライバル会社のも同じ位 ある点ではそれ以上に良かったのでした。
そしてある時 O2センサを担当されているお客様(自動車メーカエンジニア)がアメリカから日本に出張で、デンソーとライバル会社を訪問されることがありました。
実はアメリカって、ワイルドで陽気なイメージがあるのですけれども、お酒に対しては厳しくて女性が同伴する様なお店なんてありません。 大人の男性は、パーティやってバー行って始終女性を追いかけ回している様なイメージをお持ちの方も中にはいらっしゃると思いますが、 車の街、デトロイトには そういう弾けることができる場所は無いのです(ネバダ州にはそういう場所があるらしいですけれども行ったことがありませんので悪しからず・・・)。
でも やっぱり 男だったらタマには弾けたいのです。 「海外出張の時にはそういうことが出来る!!」と楽しみに日本に来られる方も中にはいらっしゃいます。 そして、この時のエンジニアも正にそれを期待されてたのでした・・・。
昼間は工場見学、製品の説明、今後のビジネスの展望等々真面目にお話するのですけれども、お客様はそれよりか夜の接待を楽しみにされていました。 ライバル会社を先に訪問したお客様は我々の接待もとても楽しみにされていました。
そして夜・・・、我々は高級日本料亭とお姉さんがいない真面目な感じのバーにお客様をお連れしたのです。 結果は・・・ お客様の心情を害してしまい失注です。
私はそれだけが原因で商権を失ったとは思っていません。 でも やはり それが一番大きかった要因だと今でも思っています。
ライバル会社はお客様の性格と興味をリサーチの上で接待されたのに対して 我々は我々が信じる最良の方法でお客様を接待したのです・・・。 お客様にとっては、要望に応えることができる会社の方がかわいいにきまっています。
さて、このお話を今日書いたのは、我々の失敗を分析する為ではありません。 セールスレターを書く時も同じなのですが、顧客の特徴を把握し、何をお客様(読者)が期待して 商品を買う感情になるかというセオリーを追うことが大事だいうことを説明したかったのです。
セオリーに忠実だったライバル会社は、 女性が同伴するキャバレーにお客様をお連れし、お客様が求める製品仕様/価格帯を聞き込むことにも成功。 一方で我々は お客様が求めるものが分からず終い、 コンペの時には又もや 我々が最良だと思う商品をプレゼンテーションしたものの「仕様/価格がマッチしていない」という抗弁する余地が無い理由で失注してしまいました(それは表向きの理由で自分が推測しているのが正しい理由だと思います。)。
お客様の感情的ニーズを調べた者の勝利です。 合理的なニーズ(製品仕様/価格帯)を追求することは大事ですが、お客様が買いたいと思う動機の本質の部分は、感情を酌んでこそ理解できると思います。セールスレターを書く際も、読者が何を求めているかを考え(又はリサーチし)、それをベースに組み立てていくことが大事です。
皆様もセールスレターをお書きになる時はそれを肝に銘じて作成されることを心掛けて頂きたいと存じます。
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